近年コロナ禍などの影響もあり、地方移住や田舎暮らしに関心が高まっているように感じます。
私自身は、「田舎暮らしがしたい！」と意図したわけではないのですが、漆芸の技術を学ぶために神奈川県横浜市から石川県輪島市に移住して、結果的に地方移住を経験しました。移住して9年がたち、今年10年目です。
地方移住や田舎暮らしについて身近で相談されることもあり、誰かのお役に立つこともあるかもしれないと、石川県輪島市への移住についての体験談をまとめてみたいと思いました。
仕事について
これに関しては私は特殊なパターンであまり参考にならないと思うのですが、私は移住の目的が石川県立輪島漆芸技術研修所で漆芸技術を学ぶことでした。
移住して1～3年目までアルバイトをしながら研修所に通いました。
4～6年目は義父のもとで弟子入りというかたちで蒔絵師のお仕事に従事。
7年目に夫とともに独立し「蒔絵工房 旬粋」を開業、現在自営業４年目です。
住居・周辺環境について
私は移住当初は輪島市の中心部でアパートを借りて住んでいました。
輪島市の中心部は都市部とそんなに環境は変わらず、買物する場所や病院なども中心部にまとまって位置しているので生活には事欠きません。
車は（運転免許も）持っていませんでしたが、徒歩と自転車で生活できていました。
このアパートは漆芸研修所の入試の時に頂いた物件紹介の紙に載っていて、立地が良く、大家さんも親切な方で、大変お世話になった思い出深い場所です。
結婚してから、輪島市の移住促進住宅という移住者向けの物件に引っ越しました。
こちらも輪島市の中心部にありとても快適な場所でしたが、４年しか住めないのがネックで、必ず引っ越し先を考えないといけません。
輪島市はアパートや賃貸住宅がとても少なく、家賃もあまり安くはありません。
ネットで調べると金沢のほうが家賃も安く、選択肢もたくさんある印象です。
なのでなかなか住居探しには苦労しました。
工房にできそうな一軒家を借りるか、中古で購入するかを検討していて、不動産屋さんに相談したり、輪島市の空き家データベースなどもよくチェックしていました。
しかし、思い通りの物件にはなかなか出会えず、結果、今住んでいる物件は知り合いの方に紹介して頂きました。
輪島市の中心部からは車で15～20分ほど離れた場所で、中心部に比べると田舎暮らし度が上がり、豊かな自然の中で畑をやったり、夫は狩猟免許を取得したりもして、より自然に近い場所で楽しく暮らしています。
地方移住・田舎暮らしのメリット
私の移住の目的は漆芸技術を修得してそれを仕事にすることだったので、輪島市にきてそれを叶えることができました。
輪島市は輪島塗という地場産業があることで、漆芸を後押しする体制があることや、高いレベルの技術を持つ作家さんや職人さんが身近にたくさんいらっしゃることも私にとってはメリットです。
何か自分のやりたいことと、その地域が盛り上げたい産業などが一致していると、移住するメリットがあるかもしれません。
自然豊かな場所での暮らしを求める、という意味での地方移住や田舎暮らしについては私の場合結果的なものなのですが、輪島に限らず、能登は自然がとても豊かで素晴らしい景色がたくさんあり、ここ数年さらにその魅力を再認識しています。
今住んでいる場所はとても自然に近いので日々実感するのですが、植物や生き物が生命力にあふれ、とても生き生きとしていて、そういう場所に住むのはとても元気がでます。
地方移住・田舎暮らしのデメリット
個人的にはメリットが多いので、移住して定着しているのだと思いますが、一般的に考えてデメリットと思われるものを上げてみます。
・車がないと生活できない
輪島市の中心部であれば問題ありませんが、そこから離れると車なしではなかなか生活が不便です。私も移住して４年目に運転免許を取りました。
・雪かきが大変
輪島はそこまで大雪になるわけではありませんが、冬のうちに何度かどさっと雪が積もることがあり、雪かきは結構大変です。
・大きな病院が遠い
輪島市内に病院や診療所などはあるので、軽度のことは問題ないのですが、少々問題が起こった場合は車で1～2時間かかる七尾や金沢まで行かないと大きな病院がありません。
あとひとつ、地方移住や田舎暮らしについて紹介する記事などで、よくデメリットとして地域の人との関係や地域行事についての問題が挙げられているように思うのですが、それは場所による、というのが個人的見解です。
現在私たちが住んでいる場所はありがたいことに移住者に対して寛容で、自治会も移住者枠のようなものを設けてくださっていて、自治会費も安く、行事参加や回覧板も必要な部分だけお声がけ頂くという感じです。
色々な地域があるとは思いますが、このような移住者に寛容なありがたい地域もありますよー！とひとこと言っておきたくて。
いかがだったでしょうか？
あくまで一個人の体験談ですが、何かご参考になることがあれば幸いです。
